セカンドマリッジリング ―After story—
「凄い真っ赤、花那のそういう嘘を付けないところが可愛い」
「か、揶揄わないで! 颯真さん」
シーツを引っ手繰って自分の身体に巻き付けると花那は急いでベッドから降りようとする。このままではどんな態度を取っていいのか分からず、自室にでも逃げ込むつもりだったのだが……
立ち上がろうとして腰から下、下半身が酷く重く感じて花那はそのままベッドの下へとしゃがみ込んでしまう。昨夜の颯真と過ごした甘い時間の所為だと分かり余計に彼女の顔が熱くなる。
「大丈夫か、花那? 昨日無理をさせ過ぎたんだよな。ごめん、自制出来なくて」
想いが通じ合った喜びから、颯真も自分が彼女に無理をさせたことは分かってる。それでもやはり花那を求める衝動を抑えられなかったのだ。
申し訳なさそうに手を伸ばす颯真に、花那は怒る事も出来ず大人しくベッドの中へと戻る。そうすれば優しい夫がその髪に口付け愛おしそうに抱きしめてくれると分かっているから。
「朝食は俺が作る、ここに運んで来るから花那はもう少し休んでいるといい」
「颯真さん、料理出来るの?」
今まで一度だって颯真が料理をしているところなど見たことがない、花那は少し不安を感じてそう聞いたのだが……
「まあ、少しくらいは……大丈夫だから心配しなくていい」
そう言うとクローゼットからシャツを取り出し、サッと身に付けると颯真はキッチンへと向かっていった。