セカンドマリッジリング ―After story—
「……だから私は反対だったのよ、こんな借金持ちの女性との結婚なんて」
攻撃的な視線と言葉、真由莉は花那が傷付く言葉を選んでいるとしか思えない。真由莉は恵まれた環境で育ったが花那はそうではなかった、そんなことは彼女が花那を見下す理由にはならないというのに。
花那に借金があったのも、それを颯真が肩代わりしたのも事実だ。それが二人で交わした契約内容だったから、今はそうではないと言ってもきっと真由莉には通じない。
「真由莉、花那は俺が選んだ女性だ。彼女の中身も知らずそんな理由で花那を否定するような言葉は使って欲しくない」
花那を良く知ろうともせずに五年間放っておいた颯真が言える言葉ではない。それは分かっていても、誰かに彼女を傷付けられるのは我慢出来なかった。それが実の妹であっても。
「颯真さん、私は大丈夫だから……」
颯真に真由莉と喧嘩をして欲しくない。そんな気持ちで口を挟んだ花那だったが、その行動も真由莉をさらに怒らせる原因となる。
「貴女なんて颯真兄さんのお金目当てのくせに! もう借金は無くなったのだから、さっさと別れればいいでしょう? それとも、もっと兄さんからお金を引き出したいのかしら」
「真由莉!」
なぜ真由莉が借金の事を知っているのかと花那は思ったが、大企業の御曹司の結婚相手となった時点で彼女の事は色々調べつくされたのだろう。