セカンドマリッジリング ―After story—
「じ、自分で食べれます! 颯真さん、ふざけないで」
さすがにそんな事を出来るほど花那も甘えたがりな性格ではない、恥ずかしさから顔を背けようとするが颯真もなかなか諦めないようで……
「妻の看病をするのは夫の務めだろ? それも俺の所為でこうなってるんだから」
「病気じゃないし、そういう事を言わないでよ!」
確かに昨日の夜、颯真が激しかったせいでこうしてうまく立てないでいるのは事実だが言葉にされるととんでもない羞恥に襲われる。
それでなくても昨夜はあられもない姿を散々彼に見られてしまったというのに。想い合って急に態度を変え溺愛してくる颯真に花那はまだついていけないでいた。
「私、颯真さんてもっとクールな人だとばかり思ってたわ。今までとはまるで別人といるみたいな気がするもの」
「俺も恋をするまでこんなに変わるなんて思わなかった、でも嫌じゃない」
颯真はそんな自分も嫌いではないという、すっかり甘くなってしまった彼に花那は困ったように笑って彼の差し出すスプーンに口を付けた。
トマトの酸味と野菜の甘味がふわりと優しく花那の口の中に広がっていく。
「美味しい……」
「それなら良かった。ほら、もう一度口を開けて」
そう言って微笑む颯真に負けて……結局、最後まで彼に食べさせてもらい花那は食事を終えることになってしまったのだった。