セカンドマリッジリング ―After story—
「あなたも心配しなくて良いわよ、瑛太くんにはああやって時々釘を刺しておかないといけないの。どこかふわふわした人だから、ね」
「え、はい……」
その後に美海が「私は彼の妻だから」と続けたことで、花那は少しだけ安心した。今まで颯真が自分の知らない女性と仲良さげに話しているとこなど見たことなかった。そんなちょっとしたことで不安になる花那は、まだ自分に自信が持てていないのかもしれない。
愛されてるのも大事にされているのもちゃんとわかっているが、颯真がいつか離れるのではないかという恐怖が付きまとっている。
そんな花那の複雑な思いを感じ取ったのか、颯真がそっと彼女の手を握ってくれた。
「大丈夫、花那を不安にさせるような場所なら最初からつれてきたりしない。俺は今の花那が一番安らげるだろうと思ったから、ここを選んだんだ」
「颯真さん……」
颯真なりにしっかりと妻の事を考えての行動だった、その言葉が花那の不安を少しずつ溶かしていってくれる。ゆっくり見つめ合い微笑みあっていると、すぐ傍から「コホンコホン」と咳払いが聞こえてきた。
「あ、すみません。美海さん……」
「いいえ~、私たちとこのペンションの事をそう言ってもらえて嬉しかったわよ? 花那さんが安らげるように私たちもバッチリ協力しなきゃね!」
そう言うと美海は廊下の突き当たりの扉を開けて、二人を部屋の中へと案内した。