セカンドマリッジリング ―After story—
一番気になっていたことだ、このまま知らない顔をしていることも出来ない。
今は花那にまでは危害が及んでいないが、血の繋がりのある颯真はそうはいかないはず。子供を道具程度にしか見ていない両親から何を言われているかと考えると花那は不安になった。
「心配ない、俺は慣れてるから。君さえ守れればそれでいい」
「私は……それじゃ嫌だわ」
颯真の優しさはちゃんと分かっているが、自分につく傷に無頓着になってはほしくない。そういう意味で花那は怒った表情を見せるが、颯真は苦笑いで誤魔化そうとするだけだ。
彼女が悔しくなるのはいつもこういう時だ、自分が夫である颯真の役に立つことが出来ない。そんな焦燥感が花那を苛立たせる、ここで守られているだけで本当に良いのかと。
「それでも俺は花那をここに隠しておきたい、これは俺の我儘だって分かってるけど分かってくれないか?」
「ズルい、私は貴方と戦う方を選びたいのに……」
こうやって拗ねる仕草を見せてもやはり颯真の意思は変わらないようだ、花那としては一緒に両親と向き合ってくれと言ってほしいくらいなのだが。
颯真に守られるのが嫌な訳じゃない、ただ自分も夫の力になりたい。それが分かってもらえなくて花那は少しだけ歯痒かった。