セカンドマリッジリング ―After story—
それが当然のことだというように口にする真由莉に恐怖を感じないわけではないが、花那もそう簡単に引き下がるつもりはなかった。自分と颯真は互いに想い合い相手を必要としている、そのことの方が結婚にはずっと大事なものだと思えたから。
それに……
「まだ涼真さんが戻ってこないと決まったわけじゃないんですよね? それなのに颯真さんの意見も聞かず話を進めるようなことをするのはどうかと思います」
「はあ、何もわかってないのね花那さんは。いい? 深澤家は貴女の育ったような普通の家庭とは違うのよ、私たち家族には大きな企業を支えるための知識や覚悟があるの。だからこそ何かあってから対応してたんじゃ間に合わない、今のうちにきちんと対策をしておかなくてはならないのよ」
真由莉の言いたいことは分からなくもない、彼女や颯真は花那が経験していないような厳しい教育なども受けてきたに違いないだろう。それでも、それが自分達が離れなければならない理由になると思いたくはなかった。
花那だって颯真と出会うまでは苦労の連続だったが耐えてきたのだ、そう簡単に尻尾を巻いて逃げ出すような人間ではない。
「そうですね、知識の面で私に不足していることも多いのは認めます。ですが……私にも颯真さんにも覚悟はあります。最後までお互いに離れたりしない、そういう覚悟が」
「迷惑な覚悟だけ持ってるのね、貴女は。自分のことしか考えていない、なんて我儘な人なのかしら? 本当に深澤の家に相応しくない人」
真由莉の言葉に花那はグッと拳を握る、感情的になってしまえばきっと真由莉の都合のいい状況に持ち込まれてしまう。どれだけ一方的な言葉の暴力にも、颯真が来るまで耐えてみせるつもりだった。
しかし……