セカンドマリッジリング ―After story—
「全部、花那さんのせいなんでしょう? 前の兄さんなら私の話を一番に聞いてくれた、それをこの人が邪魔するようになったのよね?」
自分が一番に相手をしてもらうのが当たり前だった、そんな真由莉には兄に大切な相手が出来たことがどうしても受け入れられないようで。そんな時、颯真の隣に立つ妻の花那に攻撃が向くのは当然だったのだろう。
花那の過去を調べ上げ、どうやって彼女を颯真から引き離そうかとそればかり考えていたようだ。それも兄に嗜められうまくはいかなかった様だが。
「真由莉、それは違う。確かに俺が変われたのは花那のお陰だが、彼女は兄妹の邪魔をするような女性じゃない」
「止めて! 兄さんはその人に騙されてるのよ、どうして分かってくれないの……っ!」
あくまで真由莉は自分が被害者だという考えを変える気はないらしく、ヒステリックな悲鳴のような声で喚き散らした。その様子に花那が一歩前に出て、真由莉に声をかけようとしたが……
「触らないで、貴女みたいな人が私は一番嫌いなのよ。兄さんを騙す悪女のくせに!」
「真由莉、いい加減にしないか!」
「いいのよ。ちょっとだけ私に話をさせて、颯真さん」
流石に真由莉の暴言に我慢出来ずに颯真が妹に声を荒げかけたが、それを花那が静かに遮って止める。その瞳には彼女の強い意志が感じられ、颯魔は一瞬だけ逡巡したがその後は一歩下がって黙る。