セカンドマリッジリング ―After story—
確かに始まりは借金を返すための契約結婚からだった。それでも今はお互いを必要とし愛し合っている自信が二人にはあった。
例え真由莉や颯真の両親に信じてもらえなくても、それでも自分たちの想いの強さをはっきりと示しておきたかったのだ。これから先、何をされたとしても二人は夫婦としてやっていくと。
「……そんな、嘘を平気でつくなんて」
「嘘だと思われても、私は同じ答えしか言えません」
今までは後ろめたさからずっと夫の家族との衝突を避けてきた。その方が颯真にとっても都合がいいだろうと花那が考えたからでもある。
だが、これからは違う。颯真のためだけではなく、自分のためにも彼女は自分の意志をはっきり表に出すようにしたのだ。
そんな花那の姿に颯真は喜びを感じていた。彼女が未来の二人のために少しずつ変わってくれていることに。
「颯真兄さん、お願いだから騙されないで」
「真由莉、いい加減にしてくれ。花那は俺を騙したりするような女性じゃないし、もしそうだとしても俺の彼女を想う気持ちが変わることはない」
「おかしいわよ、そんなの。颯真兄さんはそんな人じゃなかったのに……」
真由莉の言いたいことが分からないわけではない。颯真はずっと愛情というものが分からず、信じてもいなかった。都合よく親が使ってきた「愛しているから」という言葉も白々しくて苦手だったはずなのに。
花那との暮らしの中で、それまでの彼の考え方がすっかり変わってしまったのだから。