セカンドマリッジリング ―After story—
「分かってる、だが両親はそう考えてはいない。特に母が取り乱しているようだった、今週末実家に戻ろうと思うんだが花那はどうする?」
颯真の言葉に花那はすぐに返事が出来なかった。涼真の事は心配だったが、彼女はあの家の人間から良く思われていないと感じていたからだ。それは颯真の母だけではなく、もう一人の……
それでも花那はきちんと颯真の妻になったのだから、彼の家族に認めてもらいたい気持ちもある。そう思って彼女は悩んだが前向きな答えを出した。
「私もついて行くわ、私も……深澤家の一員になったのだから」
これが契約期間中に起きた事だったら、花那も颯真にはついて行かなかったかもしれない。そんな立場の自分が顔を見せに行っても、意味は無いと考えただろうから。
今きちんと颯真の両親と向き合う気になったのは、彼を誰よりも愛しているから。これからも颯真の傍にいたいと本気で思っているからだ。
「分かった、もし父や母が君に嫌な態度を取っても気にしないで欲しい。俺は花那に辛い思いだけはして欲しくないから」
「ええ、分かったわ。ありがとう、颯真さん」
颯真の優しさや自分を大切に思ってくれている事は十分分かっている。花那はそれだけでこれから会う義両親と前向きに話をすることが出来る気がしていた。