セカンドマリッジリング ―After story—
「俺がもっと……ちゃんと周りの事を見ていれば良かったのに、そうすればもしかすると兄さんのことも何とか出来たんじゃないのかって」
涼真のことだけじゃない。過去にも同じように自分が至らないばかりに花那へ苦しい思いをさせてしまっていた。他人に興味がない、そうしておけば自分が楽だから……そうやって傍にいる人を傷つけてしまってきたから――
ハンドルを握る手に無意識に力が入る、それに気付いた花那が小さく首を振って颯真の運転の邪魔にならないようそっと自分の手を添える。
「きっと涼真さんは貴方に連絡をくれると思うわ。その時に二人で彼の力になれるように頑張ればいいんじゃないかしら?」
「……花那」
こんな時、花那は必ず二人で頑張ろうと言う。一人でなんとかしようとする颯真に、自分もいるのだから頼ってほしいと言う様に。そんな妻の優しさに彼がどれだけ救われているか、それを花那は全く気付いていないのだけれども。
軽く触れた指先でさえ、とても暖かなものに感じる。その温もりは安らぎと癒しに包まれてるみたいだと、それを言葉にして伝えられないが心からそう思っていた。
「……え? あれ、美海さんと名賀さんじゃない?」
「本当だ、まさか花那のことが心配で二人で外で帰ってくるのを待ってたとか?」
よく見れば薄暗い中、ペンションの入り口に二人の人影があるのが分かる。花那を連れ帰る時に一度電話をして伝えてはいたものの、名賀達も不安な気持ちがまだあったのかもしれない。
颯真の運転する車が敷地内へと入ると、二人が慌てた様子で近寄ってきた。