セカンドマリッジリング ―After story—
協力は必然で心は揺れて
「よく来てくれたな、二人とも」
「兄さん、随分瘦せたんじゃないか? ちゃんと食べてないんだろう」
颯真だけでなく滅多に顔を合わせることのない花那から見ても分かるほど、涼真の身体は細くなっていた。病気でもしてるのではないかと心配したが、涼真は身体はいたって健康だと笑って返事をする。
確かに顔色はそう悪くはないように見える、だがやはり彼を悩ませる何かがあることだけは間違いないと二人は思った。
「お久しぶりです、涼真さん」
「花那さん、申し訳ない。こんな場所に貴女まで呼んでしまって」
待ち合わせ場所に指定されたバー・リヴェイユは落ち着いた店だが、どこか大人の隠れ家のような雰囲気もある。訳ありの男女が忍んで逢瀬を重ねるにはもってこいの場所だと感じた。
だからこそ余計に涼真の話がとても重要で人に知られてはならないものなのだと想像できたのだが。
「いいえ、私は大丈夫です。いろんな仕事を経験してますし、こう見えて結構図太いんです」
「ははは! 花那さんはやっぱりいい奥さんだ、颯真は幸せ者だな。どうしてあの家の人間は花那さんの良さを理解しようとしないんだろうな……」
大切な弟が愛する人と結婚し幸せになった喜びと、その伴侶を認めず排除しようとする家族への憤りを同時に抱える涼真もその心の中は複雑なのだろう。
優し過ぎるために全てを一人でどうにかしようとする性格は、涼真も颯真も二人共そっくりだと花那は思った。