ショウワな僕とレイワな私
レイワの人たち
「そばにいてくれるだけで」
咲桜は警察署に相談してから、前ほど悩んだり恐怖したりすることが少なくなった。警察からも大翔に対する警告やパトロールの強化をしたり注意情報を出したりするという連絡を貰ったので、少し安心して過ごすことができるようになった。いつも通り朝は八丁堀駅まで清士に送ってもらい大学に行ったが、この日は試験前で友人と勉強することになり、研究をする時間が遅くなってしまった。
「あ、もうこんな時間。行かなきゃ」
腕時計の針はいつも研究室を出る時間を少し過ぎたところを指していて、急いで駅へ向かわなければ東京駅から家まで歩いて帰らなければならない時間だ。咲桜はバッグを持って小走りで駅へ向かった。咲桜は改札を走り抜けてホームへと急いだが、ちょうどホームに着いたところで電車のドアは閉まってしまった。
八丁堀駅を通る終電に乗り換えるための電車を逃してしまった咲桜は、ふうっと息をついて、スマートフォンを取り出し清士に電話をかける。2コール目で繋がった。
「もしもし」
「今日いつもの電車乗れなくて八丁堀からじゃなくて東京駅から帰ることにしたから、ちょっと遅くなるかも。急いで帰るね……あ、電車きた。また後でね」
咲桜は電話を切って電車に乗る。一応清士には遅くなることを伝えたが、できるだけ早く帰ろうと思った。ゆったりとする間もなく電車は東京に着いた。咲桜はホームをかけ上がって改札を抜ける。久しぶりの八重洲北口であった。
「咲桜さん」
急ぐ桜の足がピタッと止まった。
「成田さん?どうしてここに……まさかわざわざ迎えに来たの?」
清士は咲桜からの電話を聞いて一目散に東京駅へ向かっていたが、これくらい何でもない、あるいは朝飯前だという様相で咲桜のバッグを持った。咲桜は頼んでもいないのに迎えに来てもらった清士に少し申し訳ない気持ちになった。
「何だか申し訳ないけど、ありがとう」
清士は何も言わず駅の外に向かおうとしたが、くるっと後ろに振り向いた。
「夜分に咲桜さんを1人で歩かせられないだろう」
咲桜は歩き出した清士に置いていかれないように、早歩きで追いついた。
「あまりに帰りが遅くなると心配になるんだ、咲桜さんなら何か事情があるのではないかと思ったが」
薄暗い路地には、白い街灯の光がぼんやりと差している。
「今日はね、試験前だから友達と勉強してたの。それで勉強が終わって研究室で研究してたらもう出なきゃいけない時間になってて、急いで駅まで行ったけど電車に乗れなかったんだよね」
「そうだったのか……咲桜さんは相変わらず学問に熱心だな。ただ、たまには休んで……」
「あ、もうこんな時間。行かなきゃ」
腕時計の針はいつも研究室を出る時間を少し過ぎたところを指していて、急いで駅へ向かわなければ東京駅から家まで歩いて帰らなければならない時間だ。咲桜はバッグを持って小走りで駅へ向かった。咲桜は改札を走り抜けてホームへと急いだが、ちょうどホームに着いたところで電車のドアは閉まってしまった。
八丁堀駅を通る終電に乗り換えるための電車を逃してしまった咲桜は、ふうっと息をついて、スマートフォンを取り出し清士に電話をかける。2コール目で繋がった。
「もしもし」
「今日いつもの電車乗れなくて八丁堀からじゃなくて東京駅から帰ることにしたから、ちょっと遅くなるかも。急いで帰るね……あ、電車きた。また後でね」
咲桜は電話を切って電車に乗る。一応清士には遅くなることを伝えたが、できるだけ早く帰ろうと思った。ゆったりとする間もなく電車は東京に着いた。咲桜はホームをかけ上がって改札を抜ける。久しぶりの八重洲北口であった。
「咲桜さん」
急ぐ桜の足がピタッと止まった。
「成田さん?どうしてここに……まさかわざわざ迎えに来たの?」
清士は咲桜からの電話を聞いて一目散に東京駅へ向かっていたが、これくらい何でもない、あるいは朝飯前だという様相で咲桜のバッグを持った。咲桜は頼んでもいないのに迎えに来てもらった清士に少し申し訳ない気持ちになった。
「何だか申し訳ないけど、ありがとう」
清士は何も言わず駅の外に向かおうとしたが、くるっと後ろに振り向いた。
「夜分に咲桜さんを1人で歩かせられないだろう」
咲桜は歩き出した清士に置いていかれないように、早歩きで追いついた。
「あまりに帰りが遅くなると心配になるんだ、咲桜さんなら何か事情があるのではないかと思ったが」
薄暗い路地には、白い街灯の光がぼんやりと差している。
「今日はね、試験前だから友達と勉強してたの。それで勉強が終わって研究室で研究してたらもう出なきゃいけない時間になってて、急いで駅まで行ったけど電車に乗れなかったんだよね」
「そうだったのか……咲桜さんは相変わらず学問に熱心だな。ただ、たまには休んで……」