ショウワな僕とレイワな私
調書の内容を確認した清士と入れ替わるように咲桜が取調室に入った。また寺田が調書を作り、男性警官が咲桜の取り調べを始める。
「大戸咲桜です、住所は……」
咲桜は少し緊張したような調子で話し始めた。
「被疑者は今朝の取り調べで、犯行の動機としてあなたが浮気をしているためと供述したのですが、事実ですか」
「いいえ、違います」
咲桜の目は大きく開いていた。何より大翔の妄想が動機になっていて、それで清士まで巻き込んだのが信じられなかった。
「彼とはもともと同棲していましたが、彼の方から『突然だけど、僕はこの家を出ていく。別れよう』とだけメッセージを残して私の家を出ていったんです。まだそのときのやり取りをした画面も残っています」
咲桜はスマートフォンを取り出して大翔とのトーク画面を出した。
「私はもう彼とはこれ以降連絡をとっていませんでしたし、もうずっと前に別れたと思っていました。それに今は私はお付き合いしている人はいません」
警官はスマートフォンのぱっと光る画面を見る。
「参考人……成田さんとの関係性は」
「知人であり同居人でしょうか。彼には私がストーカー被害で悩んでいた時からずっと身の回りのことから日頃の相談までサポートしてもらっています」
ひとつひとつきっぱりと答えていく咲桜の取り調べはすぐに終わった。
「では、大戸さんは被疑者に罰を受けてほしいという気持ちはありますか」
「はい、もちろんです。私にストーカーをしていたこともですが、成田さんに脅しをかけたことは絶対に償ってもらいたいです」
咲桜は真っ直ぐな目で答える。
「最後に、示談と損害賠償請求は……」
「示談も損害賠償も要りません。ただ罰してもらえればそれでいいので」
寺田は印刷した調書を警官に手渡し、警官はそれを声に出して読む。
「間違いないですね」
「はい」
咲桜の取り調べも終わり、2人は日が傾く頃には帰ることができた。
「取り調べ……大丈夫だったの」
咲桜は清士が何ともなく取り調べを受けられたのかが気がかりだった。
「もちろんさ。これでも僕は普段から多くの文章を読む人間だぞ、この世界の話し方くらいは勉強しているよ」
「ってことは……その怪しい話し方じゃなくて、普通に話したってこと?」
驚きを隠せない咲桜とは対照的に清士は涼しい顔をしている。
「怪しい話し方って……時代が変われば話し方も変わるでしょ?」
「普通に話せるならその話し方で喋ってよ」
咲桜は少し不機嫌そうな顔をした。
「咲桜さんといるときくらいは普段の僕でいさせてくれてもいいだろう、あの話し方はどこか気が落ち着かないんだ」
「戻った」
やはり咲桜は不機嫌であったが、清士が現代の話し方をしているのもなんだか違和感があると思って、それ以上何も言わなかった。
「大戸咲桜です、住所は……」
咲桜は少し緊張したような調子で話し始めた。
「被疑者は今朝の取り調べで、犯行の動機としてあなたが浮気をしているためと供述したのですが、事実ですか」
「いいえ、違います」
咲桜の目は大きく開いていた。何より大翔の妄想が動機になっていて、それで清士まで巻き込んだのが信じられなかった。
「彼とはもともと同棲していましたが、彼の方から『突然だけど、僕はこの家を出ていく。別れよう』とだけメッセージを残して私の家を出ていったんです。まだそのときのやり取りをした画面も残っています」
咲桜はスマートフォンを取り出して大翔とのトーク画面を出した。
「私はもう彼とはこれ以降連絡をとっていませんでしたし、もうずっと前に別れたと思っていました。それに今は私はお付き合いしている人はいません」
警官はスマートフォンのぱっと光る画面を見る。
「参考人……成田さんとの関係性は」
「知人であり同居人でしょうか。彼には私がストーカー被害で悩んでいた時からずっと身の回りのことから日頃の相談までサポートしてもらっています」
ひとつひとつきっぱりと答えていく咲桜の取り調べはすぐに終わった。
「では、大戸さんは被疑者に罰を受けてほしいという気持ちはありますか」
「はい、もちろんです。私にストーカーをしていたこともですが、成田さんに脅しをかけたことは絶対に償ってもらいたいです」
咲桜は真っ直ぐな目で答える。
「最後に、示談と損害賠償請求は……」
「示談も損害賠償も要りません。ただ罰してもらえればそれでいいので」
寺田は印刷した調書を警官に手渡し、警官はそれを声に出して読む。
「間違いないですね」
「はい」
咲桜の取り調べも終わり、2人は日が傾く頃には帰ることができた。
「取り調べ……大丈夫だったの」
咲桜は清士が何ともなく取り調べを受けられたのかが気がかりだった。
「もちろんさ。これでも僕は普段から多くの文章を読む人間だぞ、この世界の話し方くらいは勉強しているよ」
「ってことは……その怪しい話し方じゃなくて、普通に話したってこと?」
驚きを隠せない咲桜とは対照的に清士は涼しい顔をしている。
「怪しい話し方って……時代が変われば話し方も変わるでしょ?」
「普通に話せるならその話し方で喋ってよ」
咲桜は少し不機嫌そうな顔をした。
「咲桜さんといるときくらいは普段の僕でいさせてくれてもいいだろう、あの話し方はどこか気が落ち着かないんだ」
「戻った」
やはり咲桜は不機嫌であったが、清士が現代の話し方をしているのもなんだか違和感があると思って、それ以上何も言わなかった。