ショウワな僕とレイワな私
「ありがとうございます、この手紙を送ってもらって。私も初めて清士さんに会った時は本当にびっくりしましたし、私、タイムトラベルの研究をしているんですけれど、まさか本当にタイムトラベルした人が目の前に現れるなんて思ったことがなかったし……。それに、清士さんにはたくさん助けてもらって、毎日が新鮮で、一緒に過ごしていてとても楽しかったです。本当に不思議なことですけれど、こうやってご縁があってよかったと思います」

咲桜は机の上に置いたいろいろなものを清貴の方に差し出した。

「この日記も時計も、今まで私が持っていましたが、これからは全部成田さんの方で保管されてください」

家族の元に渡るのが一番だと思った咲桜だったが、清貴は断った。

「大戸さん、この日記は大戸さんに宛てたものばかりですよ。時計だって、あなたのネックレスと引き換えていたのでしょう。それに、伯父は遺書にあなたのことを強くて美しくて頼もしい女性だと、最初で最後の恋愛だと書いていたそうですし、縁談も全て断ったそうです。きっと、これは大戸さんが持っている方が伯父のためにもなります。どうか、これからも持っていてあげてもらえませんか」

咲桜は自分の目頭が熱くなっていくのが分かった。自分自身、清士にはたくさん助けてもらって、自分の知らないこともたくさん教えてもらえて、いつの間にか好きになっていたけれど、まさかそこまでして想ってくれていたとは想像がついていなかった。

「ありがとうございます……それでは、これはこれからも私の方で持たせてもらいます。本当に、本当にありがとうございます」

清貴はきっとこれで清士のためになると思いにっこりと笑った。

「父さん、大戸さんにお参りしていただいてはどうかな。せっかくなら。そうした方がきっと大伯父さんも喜んでくれるよ」

咲桜は家族でもないので流石に申し訳ないと思ったが、清士からの手紙に書かれていたので、墓地に行くまでせずとも、せめて家で手を合わせるだけでもさせてもらえるならと思って、和室へ案内してもらった。ろうそくや経典の置かれた卓上には、若い兵士の写真もあった。

スッと通った鼻筋の端正な顔立ち、すらりとした姿勢にキリッとした表情。間違いなく清士であった。

「成田さん……」

手を合わせる咲桜の頬には涙が伝った。
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