「affair」
そのまま駅の方へと歩き、電車に乗らず、インターネットカフェへと入る。
そして、暫くして、美織さんが泊まって欲しいとお願いしているから、今日は帰らない、朝帰る、と、
ほぼ同じ内容で、清太と美子にLINEする。
どちらもすぐに既読になり、
清太の方だけ、分かった、と返信があった。
それから、さらに一時間程して。
自宅のアパートへと戻る。
音を立てないように解錠して、玄関の扉を開ける。
音をたてず中に身を滑り込ませるように入ると、中は真っ暗。
リビングの明かりも消えていて、微かに聞こえて来る、声。
それは妹の、喘ぎ声。
1LDKの、我が家。
リビングへと行くと、隣の寝室の扉は閉まっていて。
そこから、妹のよがる声が聞こえて来る。
「…清君…」
清太の名を呼ぶその声はとても嬉しそうで。
その妹の気持ちが、痛い程分かる。
ずっと好きだった男に抱かれて、今はこれ以上にない幸せに包まれているだろう。
そして、頭の中がその人で一杯になって。
彼以外、もう何もいらないと。
寝室の扉を開くと、
ベッドの上、二人は裸で。
ベッドで仰向けに寝転ぶ美子の両足を持ち、清太は美子の中に自身のものを入れていた。
「花純!」
驚いて慌てて引き抜いたそれが、
なんだかとても汚らわしく思えた。
私がそうなるように仕向けて、そうやって思い通りになり。
高揚するような気持ちはあるのに。
けっこう、そうやって清太に裏切られた事に、ショックを受けていた。