「affair」

「今日の同窓会、何時からだっけ?」


朝、出勤前の夫、高畑清太(たかはたせいた)にそう声を掛けられ、
洗い物をしていた手が止まる。


「一応、18時スタートだって。
今日は金曜日で休日じゃないから、
仕事が終わってから来る人も多いから。
みんな集まるのは、けっこう遅いかもね」


今日の夜、高校三年の時のクラスの同窓会がある。


卒業してから7年。


それは初めて行われる。



「志田達によろしく言ってて」


夫も、同じ高校の同級生なのだけど、
三年の時は私とはクラスが違い。


今日はクラスでの同窓会なので、
この人は呼ばれていない。


「言っとく。
清太のクラスの1組の同窓会は年明けだっけ?」


「そうそう。
1月20日」


「じゃあ、私は佳歩によろしく言っといて」


1組で私が仲良しだった女の子の名をあげる。


その佳歩とは、2年の時同じクラスで、けっこう仲良くしていた。



「うちのクラスはまだまだ先だから、その時言って。
でも、花純(かすみ)も来る?」


「いや。流石に他のクラスの同窓会はいけないよ」


そう言うと、夫の清太は、そうだよな、と笑っている。



私は、清太に自分のクラスの同窓会に来る?とは、冗談でも言えなかった。


それは、今日の同窓会で、あの人に会えるかもしれないから。

< 2 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop