「affair」
結城先生の家は、二階建ての一軒家。


新築で買ったのか、まだ真新しい。



インターホンを押すと、玄関の扉が開いて、
結城先生が顔を出した。


「待ってたよ、沢田」


結城先生は、少し笑っていて。


それに、違和感を覚えた。



「ほら、早く中に入って」


そう促され、靴を脱いで、そのままリビングの方へと行く。



「美織も、待ってるよ」


背後から聞こえる、結城先生の声。


リビングの床で、仰向けに倒れている美織さんの胸には、包丁が突き刺さっている。


美織さんの目は開いたまま、天井を見ていて。


魂が宿っていない事は、直ぐに分かった。



「美織と沢田が繋がってる事は、知ってた。
お前がバドミントンのサークルに入って来た事を、美織から聞いていたし。
そこから、お前と仲良くしている事も。
後、お前が高畑と結婚してる事を聞いたのも、美織からだったか」



「結城先生が美織さんを…」


殺したのか、と、それは言葉にならなかった。


「こいつ、俺を裏切るから。
さっき、電話で話した通りだよ。
お前との不貞の写真を突き付けて来て、離婚しろって」


その言葉で視線を動かすと、床には私と結城先生を写した写真が、沢山散らばっている。


「いつから、知ってたんですか?」


「美織の不倫、それとも、お前が美織の指示で、俺に近付いて来た事?」



その言葉に振り返り、結城先生の顔を見る。


うっすらと笑っていて、それが不気味で。



「どちらも、です」



「美織の不倫はけっこう前から。
それはなんとなくで。
だから、俺、このリビングに盗聴器を仕掛けていたんだ。
美織のスマホはロックが解除出来そうにないから、
そっちから何か美織の不倫の証拠を掴めないかって。
いつだったか忘れたけど、俺の居ない昼間、この家に遊びに来ていたお前と美織との会話が録音されていて。
それで、お前達の企みは知ってた」


私は、その時の事を思い出す。



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