「affair」
「本当に、懐かしいよな。
お前らいつも二人で仲良くしてて。
今も仲良いのか?」
結城先生のその問いに。
「今も、花純とは仲良しですよ」
そう、先に京花が答えた。
今も京花とは友達だけど…。
そうやって自信満々に答えられる程、
今も仲良しではない。
結城先生は、私と京花の前へと歩いて来る。
「せっかくだから、高畑も連れて来れば良かったのに?」
「でも、清太はクラスが違うから」
「高畑、あいつ人気者だったし、うちのクラスの奴らともけっこう仲良くしてたから。
来た所で、それをとやかく言われないだろ?」
きっと、結城先生の言う通りかもしれないけど。
「だって、恥ずかしいじゃないですか。
絶対、周りに冷やかされるし」
そう、笑うと、そうだな、と結城先生は笑う。
こんなちょっとした会話で、私の心は切られたように痛みを感じている。
この人が私をなんとも思っていない事は分かっていても、
あえて、そうやって突き付けられて。
「それなら、結城先生こそ、月田(つきだ)先生も連れてこれば良かったじゃないですか?
ねぇ、花純?」
そう、京花に話題を振られて、
本当に、胸が痛い。
「え?
沢田と一緒で、俺も恥ずかしいから」
そう照れ臭そうに笑う、結城先生。
昔、結城先生は同僚の女性教師の月田先生と付き合っていた。
私達が卒業した翌年くらいに、二人が結婚したと誰かに聞いた。
ただ、当時から二人には結婚する話があったので、所謂婚約者同士だった。
「でも、お前達は俺が初めて担任を持ったクラスだから、
今日、それぞれの道を歩いているみんな見てて、感慨深いよな」
それは7年前、この人は25歳で。
今の私達と、同じ歳。
結城先生は、うちの高校に就職してから、三年目で初めて担任を持った。
それが、私達のクラス。