Ring



次の日、せっかくの日曜日のため、凛はバロンのイメージカラーである黄色のシャツとフレアスカートを履き、お気に入りのカフェへと向かう。耳にはイヤホンを挿し、バロンの歌声を聴きながら歩く。バロンの歌声を聴くと昨日のことを思い出し、飛び跳ねてしまいそうだった。

中世ヨーロッパにあるような見た目のおしゃれな外観をしたカフェは、値段が安くてそれでいておいしいと評判だ。そのため、いつも長い行列ができている。

(やっぱり、今日もすごい人だなぁ。でもここのフレンチトースト、すっごくおいしいんだよね)

そう思いながら、凛は行列の最後尾に並ぶ。すると、肩を何者かに優しく叩かれ、振り返ればメガネにマスクをつけた男性がいた。だが、ふわふわの髪にメガネの奥にある垂れ目で凛は相手が誰なのか一瞬で理解し、驚きながら口を開く。

「バ、じゃなかった!翔くん、久しぶり」

「久しぶり〜!昨日、ドームに来てくれてたよね。嬉しかったよ」
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