Ring
「翔くん、マスクを外してバロンだってバレちゃったら大変だよ。別々の席に座った方がーーー」

「やだ。俺は凛とお茶したいの」

強い口調で言われ、凛がリスナーにバレないことを祈りながら同じ席に座るしかなくなってしまう。これはいつものことだ。

凛はフレンチトーストとブレンドティーを、翔はハムサンドとコーヒーを注文し、オーダーを受けた店員がニコニコしながら席から離れていく。店員が離れたのを見て、翔は目を輝かせながら凛に顔を近付ける。

「ねえねえ、昨日の俺かっこよかった?」

「もちろん、とってもかっこよかったよ!個人的にめちゃくちゃかっこいいなって思ったのはねーーー」

凛が誉めると、翔はとても嬉しそうな顔をする。そして、「今度はどんな感じの曲を作ってほしい?歌うボカロ曲、凛に決めてほしいな」とリスナーに言わないことを犬のように甘えながら言うのだ。

「……前から思ってるんだけど、こんなのリスナーに言っていいの?」
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