【電子書籍化】虐げられたうさぎ令嬢は、獣人の国で寵愛される。


「何も伝えていないということか……ふむ。それはまた二人で話す必要があるな。時間を設けよう……さて、セシール嬢、本題なのだが」
「あっ、はい」
「伯爵から聞いていると思うが、輿入りの件だ。一応あなたの気持ちを聞いておきたい。嫌なら嫌だと言ってほしい」


 私に決める権利があるの……?


「これは政略結婚と言ってもいい。一度あちらに嫁いでしまった場合、滅多には帰国は叶わないだろう。だから決めてほしい。自分の未来だ。そしてセシール嬢は、私の大事な国民の一人でもある……幸せになってほしい」
「ありがとうございます、もし、私が断った場合私はどうなるのです?」
「そうだな、私が責任持っていい縁談を紹介しよう。国にとってもバーニューデス家にとっても最善の相手を」


 私が帝国に嫁いでも、陛下の選んだ相手もどちらも結局は同じ。なら新しい国で新しい生活を始めてもいいのかもしれない……それにお祖母様の母国だし、いつか行ってみたいと思っていた。

 嫁入りで行くことになろうとは思わなかったけど。



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