【電子書籍化】虐げられたうさぎ令嬢は、獣人の国で寵愛される。
お兄様のセベ・バーニューデスは、王宮魔法騎士団に所属する国王陛下専属の騎士さんらしい。それで私の護衛に選ばれたってわけか……それは災難のこと。
彼も私のことを煙たがっていることは知っていた。私といるのが辛いからと騎士学校へ行くことを決め入学年齢になると寄宿舎に入り王都へ旅立ってしまった。エリート中のエリートらしく十八歳なのに陛下付きの騎士様だ。
「ここだ、セシール。俺は入れないから……行ってこい」
「はい、頑張ってきます」
セベはドアを変わったリズムでノックをすると返事が来てドアを開けた。
「……お初にお目にかかります、陛下。バーニューデス家長女・セシールと申します」
私は陛下の前に行き、今までやったことがなかったお祖母様直伝のカーテシーをする。これは淑女の挨拶らしい。
「セシール、頭を上げよ」
「ありがとうございます」
そう言って顔を上げるとそこには、お父様よりも若いがお兄様よりも年上な方が高そうな椅子に座っていた。