【電子書籍化】虐げられたうさぎ令嬢は、獣人の国で寵愛される。
「そこに座りなさい、ここは正式な場ではないので楽にしなさい」
「は、はい」
楽にって言っても、初めてあの家の人と話すのが陛下だなんて緊張しない方がおかしいでしょう! こんなに緊張するものだったなんて……そう思えばお兄様はすごい。毎日顔を合わせているんだもの。
私が座ると静かに侍女さんが紅茶を淹れてくれて置いてくれたがそれを飲む勇気はない。けど、ここで私が飲まないといけないってお祖母様が言っていた。一緒にいるのが高貴な人ほど先にって、まぁ毒味係ってことだとも言っていた。
「いただいてもよろしいでしょうか」
「あぁ、どうぞ。国内の産地で採れた茶葉なんだ……気に入ってくれれば良いのだが」
「じゃあ失礼致します」
ティーカップに口を付けるとまだ熱い紅茶を飲む。フルーティーな味わいが口いっぱいに広がってとても美味しい……こんな紅茶飲んだことない!
「とても美味しゅうございます。フルーツの香りとともに甘さが感じられて……こんな美味しい紅茶は初めてです……あ、」
話しすぎた! これやばいんじゃない!? どうしましょ!
「はははっそれは良かった、良かった。うん、素直でいい……さすがセベの妹だ」
「……へ?」
「笑ってすまない。これはセベが溺愛するのも分かるなぁ、と」