兄の子を妊娠しました。でも私以外、まだ知りません 〜禁断の林檎を残せるほど、私は大人じゃないから〜
「羽奏。戻ったよ」
「お帰りなさい、刀馬くん」

彼が今日も
予備校から帰ってきた。
彼の受験はもうすぐ本番だ。
授業はほとんど終わっており
あとは過去問をひたすら
解きまくっているとのことだった。

「調子はどう?」

私が聞くと

「俺のことは心配しないで」

と言いながら、私に
彼が今日解いた問題プリントを
私に渡した。

「やっぱり刀馬くんすごいね。
私にはできる自信ないよ」
「大丈夫だよ。コツさえ掴めれば」
「それが、大変なんだよ……」
「羽奏なら、すぐ追いつけるよ」
「私の成績知らないから
そう言うこと言えるんだよ」

唇を尖らせて
不機嫌さを伝える私に
彼はよしよしと頭と
お腹を撫でてから

「じゃあ、始めようか」

と、教師モードになった。
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