兄の子を妊娠しました。でも私以外、まだ知りません 〜禁断の林檎を残せるほど、私は大人じゃないから〜
「……思い出すね」

彼も同じことを考えてたみたいだ。
それも、とても嬉しい。

「ねえ、刀馬くん」
「何?」
「……大好き……」
「俺も…………」

そうして、しばらく画面越しに見つめ合っていると
急に眠くなってしまった。

「眠い?」
「……うん……」
「いいよ、寝ちゃって」
「え、やだ。刀馬くんともっと話したい」
「羽奏が眠っちゃうまで、こうやって繋いでるから」
「ほんとに?」
「ほんと」
「……約束だよ」
「いいよ」

そうして、あとちょっと言葉のやりとりをした気がするが
何を話したかは覚えていない。

だけど、こんな風に刀馬くんと話すようになってから
私はぐっすりと、眠れるようになった。
明日また、彼に会えると思うと
次の日が来るのが楽しみになった。


ねえ、刀馬くん……知ってる?
あなたと愛し合ってから
私は、自分が未完成だったと知ったんだよ。

あなたがいないと
もう私は完璧な私じゃいられないの。


だから…………。


第1章 終了
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