絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 その時、わたしのぺちゃんこのお腹が鳴った。
 人間の姿の時の体格と、ヤマネコの姿の時の体格はリンクしている。ヤマネコ姿のわたしも人間の姿の時と同様、栄養不足によって片手でヒョイと持ち上げられる小ささで、骨の浮いたガリガリの体をしていた。なぜか白銀の長毛だけは、もっさりと生え揃って艶やかだったが。
《ふみゃぁ(くそぅ。ルルってばめっちゃおいしそうにステーキ食べて、ズルいよーっ(泣))》
 わたしはもふもふの毛に覆われた肉球の前足を大合唱を響かせるお腹にあてて、夢の中でたらふくステーキを頬張っていたルルに恨み言をこぼした。
 さらに、転生後もう何度目とも知れぬ悪態を叫ぶ。
《ふしゃぁっ(神様のバッカヤロー(怒)!)》
 死の直後に『来世はわたしも、お気楽なネコになりたーいっ!』と願った通り、わたしはヤマネコに転生を果たした。しかし、神様には断固徹底抗議がしたい。
 わたしは『お気楽なネコになりたい』と言ったはず。
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