絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ……ううん。言葉だけじゃない。そもそも、わたしがネコの習性をガン無視した食生活や生活習慣でここまで生きてこられたのだって、考えてみれば奇跡的だ。
 ずっと、魔法はわたしにとってちょっと使い勝手の悪いものという認識だった。少なくとも、わたしが自発的に使うことができる月の魔法は、かなり使用場面が限定される。でも、もしかするとこれまでも、わたし自身知らないうちに魔法の力にいっぱい助けられていたのかもしれない。
「まぁ、魔物だろうがヤマネコだろうが、ルーナがとびきりかわいいというのは疑う余地もありません。それから、私はずっと側に控えてきましたから、あなたがカインザー王国のために私生活を犠牲にし、騎士団長として先陣きって駆け抜けてきたことを知っています。ルーナを飼い始め、幸せそうに足早に帰宅していくあなたの背中を見るに、うれしい思いにもなるのですよ」
「ユーグ……」
 ユーグさんはカタンと席を立つと、こちらに一歩足を寄せ、わたしを覗き込んだ。
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