絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 俺は、大型のくず入れや踏み台などが乱雑に積まれた小屋の右奥を注視した。そして一歩、また一歩と距離を詰め、幅四十センチ、高さ五十センチ程のくず入れの前で足を止めた。
 腕を伸ばし、籐で編まれたくず入れをグッと掴んで持ち上げた。
「きゃぁっ!」
 俺の目にまず飛び込んできたのは、月光を紡いだかのような髪。次いで、暗がりでもひと目でわかる透き通るような肌と整った目鼻立ちに気づき、際立った美貌に息をのんだ。
 ……なっ、裸だと!?
 さらに驚くべきことに、目の前の少女は一糸纏わぬ姿だった。唯一、少女が体を隠すのに持っているのはブランケットのみ。胸元に寄せたそれを握りしめる両腕は細く、力を入れて握ったらポキリと折れてしまいそうだ。剥き出しの肩や腰も同様に華奢で、体にまったくと言っていいほど厚みがなかった。
 しかし、それらを差し引いても少女には不思議な気品と匂い立つような色香があった。俺は蕾のように初々しく、美しい少女にひと目で魅せられた。
< 113 / 252 >

この作品をシェア

pagetop