絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 慌てて声を張ったが、小さな影はそのまま小屋の外へと走り去ってしまった。それと同時に、少女の息づかいや気配も消えていた。
 ひとり残された俺は、扉の外を見つめたまましばし立ち尽くした。
 暗がりゆえ目視での確認はできていない。だが、テテテテテッという足音と俺の脛をふわりと掠っていったやわらかな感触には馴染みがあった。
「今のは、ルーナだよな。初めからここに入り込んでいたのか? ……いや、だとしたら俺がルーナの気配に気づかないはずはない。少女が飛び出していったのを、ルーナと勘違いしたのか?」
 どうにも釈然とせず、首をかしげながらぶつぶつとつぶやく。
 そうこうしているうちに、目が徐々に暗さに慣れて視界が利くようになってくる。小屋内を見渡すが、やはり少女の姿は影も形もなかった。
 ふと近くの床にブランケットが落ちているのに気づき、トンッと一歩前に踏み出して拾い上げた。
「これは……!」
 手の中のブランケットは、普段ルーナが使っているのと同じ物だった。
 ……いったい、どういうことだ?
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