絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「ハァ。今晩はもう、屋敷に戻って休むとするか。……いや、その前に各国の大使館から捜索願が出されていないか、確認せねばならんな」
 俺は思考を切り替えるように緩く頭を振ってから、屋敷に続く歩行路を歩きだした。

***

 ――テテテテテッ。
 人型からネコの姿に変身したわたしは、物置小屋を脱兎のごとく逃げ出した。この後、レリウスさまが周辺を捜すことも考慮して、庭の反対側の端っこまでダッシュして、生垣の下にできた窪みに駆け込んだ。
 体を丸めスポッと窪みに納まると、安堵の声を漏らしながら、ずっと銜えていた上着を放した。
《ふみゃあぁっ(ひぃいんっ。危なかったよぉ~っ)》
 ……ところで、これって明日の朝わたしが銜えて帰ったらヘンだよね。
 咄嗟に銜えて持ってきてしまったが、どうやって返したものか考えると、ちょこっと頭が痛かった。
 だけど、なにより頭が痛いのはレリウスさまに人型を見られてしまったことだ。寒さに負けてのこのこ小屋に入ってしまったが、これは迂闊だった。
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