絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 屋敷のみんなもわたしも、お仕事が大変なんじゃないかって心配したのに、レリウスさまは女の人のことで悩んでいたの!?
《ふしゃぁあっ(なにそれ、信じられないっ! レリウスさまの馬鹿っ!!)》
 わたしはレリウスさまのほっぺたにネコパンチをお見舞いし、そのままピョンッと膝から降りた。
 わたしが繰り出すネコパンチの威力など、たかが知れている。だけどレリウスさまはとても驚いた様子で、ピキンと動きを止めた。
「お、おい!? 急にどうした?」
 レリウスさまは戸惑いつつも、すぐにわたしに向かって腕を伸ばしてくる。わたしはそれをスルリと躱し、ダッと駆けだした。
「ブラッシングはもういいのか? 左半分がまだだぞ」
《くしゃぁあっ(そんなの、言われなくたってわかってるもん! レリウスさまなんて、もう知らないんだからっ!!)》
 わたしは一旦足を止めてキッとレリウスさまを睨みつけると、棚から予備のブラシを銜え、今度こそ居間を飛び出した。
「おい、ルーナ!」
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