絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
《ふ、ふっ、ふみゃーん(う、うっ、うえぇーんっ! せっかく見つけた椎の実、落っことしちゃったよぉっ)》
 椎の実は生でも食べられる貴重な食材であり、数少ないわたしの栄養源でもあった。
 わたしはお腹と背中がくっ付いちゃいそうなひもじさ、そして大事な椎の実を落としてしまったことへの後悔や馬鹿にされた悔しさも、いろんな感情がごちゃ混ぜのままえぐえぐと泣いた。

 椎の木は、仲間たちが朝ごはんを食べていたあたりにしか生えていない。わたしは泣く泣く椎の実を集めるのを諦めて、ぽてぽてと重たい足を引きずって森の東にある水場に向かった。
 ここはゴツゴツした岩肌を湧き水が伝っており、喉の渇きを癒すことができる。ただし、仲間たちも水場として使っているから、鉢合わせしようものなら意地悪をされちゃうのだが。
 ……今はみんなごはん中だから、大丈夫だね。
 わたしは岩に口を寄せ、空腹を紛らわせるように流れ落ちてくる水を高速でペロペロし、飲んで飲んで飲みまくった。
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