絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
目の前を通過していくふたりに、わたしが真っ先に感じたのは強烈な違和感。ふたりの間には、痺れるような緊張感を孕んだ異様な空気が漂っていた。さらに、小声で交わされる会話がわたしの耳に届く。
「――本当に、妹は無事なんですね? 俺が言う通りにすれば、必ず妹を返してくれるんですよね?」
……なに? いったいふたりは、なんの話をしているの?
「これこれ、コリン。声が大きいですよ。そう怖い顔をせずとも、妹さんは然るべき場所で大切にお預かりしています。先ほど様子を見てきましたが、趣味の刺繍など刺しながら寛いでいましたよ。もちろん、じきにお返しします。……お前が我らにほんの少し協力してくれれば、ですけれどね」
グレス書記官の脅しみたいな台詞を耳にして、若い騎士――コリンの表情が苦悶に歪む。
わたしの胸にも不快感が込み上がり、全身の毛という毛がビリビリと逆立った。
「具体的に、俺はなにをすればいいんです?」
グレス書記官は自身の懐から筒状の物を取り出し、コリンのポケットに捻じ込みながら続ける。
「――本当に、妹は無事なんですね? 俺が言う通りにすれば、必ず妹を返してくれるんですよね?」
……なに? いったいふたりは、なんの話をしているの?
「これこれ、コリン。声が大きいですよ。そう怖い顔をせずとも、妹さんは然るべき場所で大切にお預かりしています。先ほど様子を見てきましたが、趣味の刺繍など刺しながら寛いでいましたよ。もちろん、じきにお返しします。……お前が我らにほんの少し協力してくれれば、ですけれどね」
グレス書記官の脅しみたいな台詞を耳にして、若い騎士――コリンの表情が苦悶に歪む。
わたしの胸にも不快感が込み上がり、全身の毛という毛がビリビリと逆立った。
「具体的に、俺はなにをすればいいんです?」
グレス書記官は自身の懐から筒状の物を取り出し、コリンのポケットに捻じ込みながら続ける。