絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「……へ、へっ、へーっぷしゅ! わわわ~、鼻水が~。鼻紙、鼻紙……あったあった~。チーン」
 今だ――!
 わたしはずんぐりが鼻をかんでいる一瞬の隙をついて、ボフッと袋の中にダイブした。
 ……バレないように、なるたけ奥の方にっと。
 もぞもぞと奥の方に潜り込み、小さく体を丸めた。
「ふぅ~。なんで急に鼻がムズムズしたんだ~? ……ん、コショーの瓶?」
「おい、なにぐずぐずしてるんッスか? 早く厩舎に運びに行くッスよ!」
「は、はい~。今行きます~」
 後に付いてこないのを訝しみ戻ってきた料理人から厳しい声を受け、ずんぐりはさすがに少し急いだ様子で袋の口を閉じた。
「よいしょっ~」
「なんだ、その袋も意外とパンパンじゃないッスか」
「あれ~? おかしいな~」
 厩舎に向かいながら指摘され、ずんぐりは少し不思議そうに答えていた。

 厩舎に着くと、主任料理が待ち構えており、急いだ様子で積載を指示する。
「おお、やっと来たか。レリウス騎士団長とユーグ副官が間もなく到着し、点呼が始まる。急いでこっちの馬に括れ」
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