絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
長老が口にした《追放》の一語を耳にした瞬間、目の前が絶望の色に染まってゆく。いくら前世の記憶があるとはいえ、わたしはいまだヤマネコ社会で成猫と認められる生後一年に満たない仔ネコだ。たったひとりでコミュニティを放り出されては、生きてゆく術はない。
長老は狼狽するわたしから、母ネコに視線を移した。
《ニィャー(マーサよ、我がこれまで〝禍の子〟の存在を黙認しておったのは、ひとえにそなたの心情を慮ってのこと。あれを追い出せば、情に厚いそなたが悲しむであろうと思ったからだ)》
《ニャー(長老様……っ)》
《ニィャー(だが、此度のことでそなたもわかったであろう。あれは、我らとは永遠に相容れぬ異端であり、禍いの種。これ以上ここに置けば、いずれ我らヤマネコ社会に大いなる災厄をもたらすことになろう。……許せよ、マーサ)》
《ニャー(……いいえ。追放に、異論はございません。あなた様の御心に感謝いたします)》
母ネコが楚々と頭を下げ、長老はそれに重々しくうなずいた。
《ニィャー(若い衆、〝禍の子〟を森の端まで運び出せ)》
長老は狼狽するわたしから、母ネコに視線を移した。
《ニィャー(マーサよ、我がこれまで〝禍の子〟の存在を黙認しておったのは、ひとえにそなたの心情を慮ってのこと。あれを追い出せば、情に厚いそなたが悲しむであろうと思ったからだ)》
《ニャー(長老様……っ)》
《ニィャー(だが、此度のことでそなたもわかったであろう。あれは、我らとは永遠に相容れぬ異端であり、禍いの種。これ以上ここに置けば、いずれ我らヤマネコ社会に大いなる災厄をもたらすことになろう。……許せよ、マーサ)》
《ニャー(……いいえ。追放に、異論はございません。あなた様の御心に感謝いたします)》
母ネコが楚々と頭を下げ、長老はそれに重々しくうなずいた。
《ニィャー(若い衆、〝禍の子〟を森の端まで運び出せ)》