絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 わたしがワーグナー筆頭大臣邸を目前に捉えた時、既にレリウスさまの部隊は突入した後だった。敷地の中では、激しい交戦が繰り広げられているようだった。
「っ、間に合わなかった……!」
 高い垣根が邸宅の敷地を囲っていて詳しい状況は窺えないが、漏れてくる声などから、レリウスさまたちの苦戦が想像できた。
「レリウスさまたちは無事なの!?」
 戦況が知りたい。けれど、うかうか敷地内に入り込んで敵に見つかるなど論外だし、レリウスさまたちに気づかれてしまった場合も、みんなの集中力を削ぐことになってしまう。
 万が一にも、みんなの迷惑になってはいけない。どうしたら……。
「……あ! そう言えば、途中に火の見やぐらがあったはず!」
 ここに来る途中、火の見やぐらの横を走ってきたことを思い出し、大急ぎで道を引き返した。
 四百メートルほど戻り、火の見やぐらにたどり着くと、わたしはランプを地面に置き、逸る思いで上りだした。
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