絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
火の見やぐらの高さは八メートルほど。てっぺんには気持ちばかりの雨よけ屋根が取り付けられており、その下に金属製の鐘がぶら下がっている。かなり古い物らしく、素材はまさかの木製。丸太が板梯子ような形状に組まれていて、一段は五十センチほどと高めだ。
今もきちんと点検が行われているのか怪しい代物で、実際、黒く変色した丸太を踏みしめるたび軋むような音がして不安が募る。さらに足の傷から滲んだ血で、何度も滑りそうになった。
それでも、わたしに手と足を止める選択肢はなかった。
……よし。あともう少し!
ついに一番てっぺんまで上りきり、ワーグナー筆頭大臣邸を見下ろす。
この時のわたしは、満月の明るさだけでは説明がつかないくらい、明瞭に敷地内の様子が見えていた。
「なんてこと……! レリウスさまたちが、あんなに大勢の兵士に囲まれてる!」
レリウスさまの部隊は迎え討ちにあって苦しい戦いを強いられていた。なにより、ワーグナー筆頭大臣側の兵士の数が異常だった。
今もきちんと点検が行われているのか怪しい代物で、実際、黒く変色した丸太を踏みしめるたび軋むような音がして不安が募る。さらに足の傷から滲んだ血で、何度も滑りそうになった。
それでも、わたしに手と足を止める選択肢はなかった。
……よし。あともう少し!
ついに一番てっぺんまで上りきり、ワーグナー筆頭大臣邸を見下ろす。
この時のわたしは、満月の明るさだけでは説明がつかないくらい、明瞭に敷地内の様子が見えていた。
「なんてこと……! レリウスさまたちが、あんなに大勢の兵士に囲まれてる!」
レリウスさまの部隊は迎え討ちにあって苦しい戦いを強いられていた。なにより、ワーグナー筆頭大臣側の兵士の数が異常だった。