絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 殿を務めていたコリンがピタリと脇につき、広く守備範囲を取ることでアックスを援助し、なんとか凌いでいた。
 その時だった。ここまでどうにか耐えていたアックスの体がグラリと傾ぐ。左体側がガラ空きになり、対峙する敵がすかさずそこを狙って剣を突き入れてくる。
「アックス――!」
 ――ガキンッ!
 剣先が脇腹を貫く直前、コリンがアックスの前に出て、馬から大きく身を乗り出して腕を伸ばす。コリンは立ち乗りの苦しい体勢で、なんとか敵の剣をなぎ払った。
 弾かれた剣が弧を描いて吹き飛んでいくのを目にし、俺が安堵しかけたのも束の間。
 馬上での無理な体勢が災いし、コリンの背後に一瞬の隙が生じていた。そこに、敵が射た矢が迫る。
「コリン、後ろだ!」
 ――ズンッ!
 気づいた俺が声を張るのとほとんど同時、体勢を立て直そうとするコリンの背を矢が射貫く。コリンは前に倒れ込むように落馬し、体は無残に地面に叩きつけられた。
 すぐにでも駆けつけたいが、戦況がそれを許してはくれない。
「クソッ!!」
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