絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 襲いくる敵を切り伏せてから横目で見たら、持ち直したアックスがコリンを守るようにきつく前を見据え、剣を構えていた。そのことだけが唯一の救いだった。
「待っていろコリン! すぐに助ける! ……ハァアアッ!!」
 俺は返り血と汗で滑る剣を握り直し、同時に向かってくる四騎の敵を一太刀で叩き切った。
 満月が不思議なくらい発光を強くしたのは、その直後だった。
「っ、これはいったい……!?」
 突如月が輝きを増したと思ったら、まばゆい光のシャワーが降り注ぐ。
 目の前は、あっという間に清らかな白い光で塗られてしまう。視界が奪われたことに恐怖を覚えたのは一瞬で、光のシャワーを受けながら全身にどんどん力が漲ってくるのを感じた。
 まばゆいほどの白光がやわらぐと、徐々に視界が戻ってくる。そうして目にした景色は、これまでと一変していた。
 ……どういうことだ?
 相対する兵士がひとり、またひとりと剣を下ろしていく。俺たちに向かって四方から矢を射るべく構えていた兵士たちも、こぞって弓を下げていくではないか。
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