絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「やはりこの娘が、其方がいっとき血眼になって探していたという『白銀の髪と紫色の目をした少女』だったか。こうして目にするまでは『愛猫に入れあげすぎて、ついにネコが人型を取ったと妄想まではじめた』という巷の噂をグレスと共に笑っていたが、まさか本当にこんな髪色を持った女が実在していたとはな。それにしても、成人を迎えるか迎えぬかの少女に食指が動くのだから、レリウス騎士団長、其方も存外俗物だったのだなぁ?」
 下品な物言いは、果たして俺への挑発なのだろうか。だが、俺のことをなんと言われようが、そんなのは構わない。
 この瞬間、俺の頭を占めるのは、いかにして少女を無傷で救出するか、この一点だけだ。
「御託はいい。こんなふうに人質を取ったところで、其方に行く先はないぞ。其方にも想像ができるだろう? 馬鹿な真似はやめ、投降しろ」
「行く先はない? ……ふむ、たしかにそうかもしれんなぁ」
 ワーグナー筆頭大臣はその言葉ぶりとは裏腹に、勝ち誇ったような不遜な表情をしていた。
「わかったら、ナイフを下ろせ」
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