絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「ですが……」
 グレス書記官はまだ納得がいかないのか、眉間に皺を寄せて言い淀んだ。
「先日、技術改革担当大臣が国民に向け『存在したかも定かでない古の魔法に希望を見いだすことに意味はない。これからは未来思考の新技術の開発に力を入れる』と表明していただろう。そなたの思いがどうあれ、国としての公式見解は『現代に魔法は存在しない』だ」
 俺のこの言葉に、グレス書記官は不承不承に頷いた。それを見て俺はグレス書記官との会話を終わりにし、視線を前に戻した。
 五代前の国王が科学大革新を唱えてから、既に二百年もの時が経っているというのに、なぜグレス書記官はじめ多くの人がいまだ魔法などという夢物語を信じたがるのか。
 己の腕だけを頼りにここまでやって来た俺には、到底、理解ができなかった。
「……またそうやって敵を増やして。みんながみんなレリウス様みたいな現実主義の筋肉馬鹿じゃないんですから、そこんとこ、ちゃんと考えて欲しいものです」
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