絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ユーグが横でボソボソとつぶやいた。馬脚に紛れてよく聞こえなかったが、貶められたように感じたのは俺の気のせいか?
「おい? なにか言ったか?」
「レリウス様、わかってますか? 今のでグレス書記官、すっかりヘソを曲げちゃいましたからね。王宮との文書のやり取りの際、窓口になっているのは彼ですからね。これから、やり難くなりますよ」
 俺が問うと、ユーグは少し声のトーンを上げ、隣の俺にだけ聞こえるくらいの大きさで答えた。
「なぜ、今ので仕事がやり難くなるなどという事態になる?」
「レリウス様が正論を武器にやり込めちゃったからですよ」
 ……やり込めた?
 そんなことをしたつもりは更々なく、ユーグの言い分が俺にはいまひとつピンとこない。
「俺は単に事実を伝えたまでだ。それのなにが悪い?」
 ユーグは呆れたようにヤレヤレと肩をそびやかした。
「ハァ~、あなたって人は本当に堅物なんですから。剣技の向上に勤しむのは結構ですが、騎士団長というのは管理職でもあるわけです。周囲と、もっとうまくやってくださいよ」
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