絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 実際は体が弱っていたから「ピョーン」なんて勢いはなく、よろよろといった感じだったのだが、その人はしっかりとわたしを抱き留めてくれた。
 ガッシリとした逞しい腕が、深い安心感を与えてくれる。胸に巣食っていた不安や恐怖が、一瞬でスーッと引いていくのを感じた。
 一方で、わたしは大きな違和感を覚え始めていた。
 ……なんかこの人、パパよりもでっかくない?
 わたしが仔ネコで小さいのは百も承知。しかし、それを加味しても、わたしを抱き上げているその人は、頭が天井を突き破ちゃうんじゃないかってレベルで大きかった。
 パパの身長は百九十センチだったけど、おそらくこの人の身長は二メートルを超えている。
「こら。弱っているのに、急に起きては危ないだろう」
 ……うん、声も違うや。こりゃあ、パパじゃないね。
 この時は目覚めたばかりであまりピンときていなかったのだが、転生後に初めて聞いた人間の言葉は、わたしの耳にちゃんとした意味を持って届いていた。それこそ、馴染みのある日本語を聞いているのとなんら変わりなく。
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