絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 察した俺は中庭に面した長窓に向かい、ちょうど仔ネコが通り抜けできるくらい開いてから、ちょいちょいと手招きする。〝魔窟の森〟の横断によって、俺たちは道程の遅れを取り戻したばかりか、宿にも予定より早く入れた。そのため、いまだ窓の外には西に傾きかけた太陽が顔を覗かせていた。
 仔ネコは、俺が開けた窓を認めると、これ幸いとばかりに跳んできて、スルリと窓の隙間から外に出ていった。どうやら、ネコというのは存外、意思の疎通が図れるもののようだ。
「やはり客間を一階にしておいたのは正解だったな」
 ちなみにチェックインの際、普段通り上層階の鍵を受け取りかけた俺に『外でないと用を足さないネコもいるから、今夜は一階にしておいた方がいいのでは』と、提案してくれたのはユーグだ。
 多方面に気が回る実に有能な副官である。
「さて、睡眠、食事、排せつとくれば次はなんだ? ……よし、一応水とタオルでも用意しておくか」
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