絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 どうやらユーグは、仔ネコの愛らしさに声も出ないと見える。その気持ちは俺にもよくよくわかるが、このままでは埒が明かない。
「はははっ、かわいいだろう? お前が見惚れるのもわかる。だが、なにか報告があって来たのだろう? 先にそれを聞こう」
「……いやいやいや。レリウス様、そのネコめちゃくちゃおかしいですよね」
 俺が水を向けると、ユーグはわななく指先で仔ネコを示し、こんなふうに口にした。
「なにがおかしい?」
「だって、両手で顔や体に水をパシャパシャかけて洗うネコなんてどう考えてもヘンでしょう」
「そういうものか?」
 俺はあまり動物――特にペットとなるような小動物の生態には精通していない。それというのも小動物は皆、俺を目にするや、この体格にビビってしまうのか、軒並み尻尾を巻いて逃げて行ってしまうからだ。
「……いやいや。普通、ネコは前足でペロペロして顔を洗うものですよ。そもそも水を嫌うネコが多いですから、少なくともこんなふうに自分から水をパシャパシャするネコなんて初めて見ましたよ」
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