絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 ヤマネコのわたしは人よりも耳がいい。レリウスさまは聞こえなかったようだけど、私の耳はユーグさんの小さなつぶやきをキャッチしていた。
 ……うわぁ。まさかこのテーブルがそんなにお高いものだったとは……。とはいえ、このお屋敷にしても目玉が飛び出ちゃう豪華さだもんね。騎士団長って、高給取りのエリートなんだなぁ。
 わたしはレリウスさまをチラ見して、改めて彼の地位とその財力に唸った。
「おいユーグ、もしかしてお前、どこか具合が悪いのではないか? さっきからどうも様子がおかしいぞ」
 ……ん?
 レリウスさまの声でユーグさんに視線を向ける。するとユーグさんは椅子をひきかけた体勢のまま、わたし用のくり貫き穴の前に置かれたプレートを注視して、岩のように固まっていた。
「……ちょっと待ってください。あれはいったい、誰の食事ですか?」
「ん? ルーナの分だが……なんだ? もしかしてお前も、料理ごとに別皿で配膳するよりワンプレートの方が食いやすかったか?」
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