【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜


「確かに愛莉のことは、本当に残念だったと思ってる。 これからだって時にこんなことになって……。俺は愛莉を殺した犯人のことは、きっと一生許せないと思う」

 私だってそうだ。……愛莉の命を奪った犯人のことを、許せる訳なんてない。
 出来ることなら、あの時に戻りたい。

「でも愛莉が守ったものは、奇跡だと俺は思ってる」

「奇跡……?」

「君という、奇跡だよ。……愛莉は君に、幸せになるために生きたんだと、教えたんだと思うんだ」

 幸せに……なるため……?
 幸せ? 私が、幸せに……?

「……私は、幸せになる資格なんてないです」

「そんなことない。……愛莉は君の幸せを、誰よりも願ってた。愛南ちゃんが笑って明るく生きててくれることを、誰よりも願ってるのは、愛莉だったんだよ」

 愛莉……私だけが生き残って、ごめんねーーー。
 愛莉の幸せを壊して、本当にごめん。

「裕太さん……」

「だから愛南ちゃん、君は生きるべきなんだよ。……亡くなった愛莉の分まで、幸せになるために、生きるべきだ」

 裕太さんの言葉で、私は涙がとめどなく溢れた。 
 これが愛莉の遺言なのかもしれない、そう思えて、涙が溢れたんだ。
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