【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
「そうだなあ……」
裕太さんの髪を乾かしながら、私は裕太さんに何色が似合うか考えてみる。
「裕太さんはラベンダーカラーとか、似合いそうかも」
「ラベンダーカラー? 想像したことないな」
裕太さんは「どんなカラーなんだろう?」と想像しているようだ。
「くすんだカラーですよ」
「なるほど。くすんだカラーね」
裕太さんが不思議そうな顔をするので、「後でカラーの見本見せてあげます」とドライヤーのスイッチを切る。
「乾きました」
「お、ありがとう」
裕太さんの笑顔って、こんなに素敵なんだよね。見ているだけで幸せな気持ちになる。
愛莉もきっと、こんなに幸せだったのかな。
「裕太さん、ちょっと髪を伸びてきた? 今度、裕太さんの髪、切ってあげようか?」
「本当に? 愛南が切ってくれるの?」
「うん。だから今度うちの美容室来てよ」
うちの美容室に来てほしいと頼んだら、裕太さんは快く「本当に? じゃあ、来週切りに行こうかな」と言ってくれた。
「うん。私が、裕太さんの髪を切ってあげる」
「ありがとう」
「最高にカッコよくしてあげるね」
裕太さんは私の手を握り、「それは楽しみだな」と微笑む。