【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
そう言われて私は、ただ裕太さんの顔を見つめることしか出来なかった。
それは裕太さんの悲しい気持ちが、よく分かるからだ。
今目の前にいるのは、私であって、愛莉ではないのだ。 双子という運命になった私たちは、こうして辿る道が……こんなにも違う道になるなんてーーー。
なんて言えば、いいのだろうか……。
「……すみません。辛いことを……思い出させて」
「いいんだよ。愛南ちゃんは悪くないんだから」
優しい裕太さんは、私を責めたりしなかった。 だけどそれが、私にとっては辛いことだった……。
愛莉が死んだのは、私のせいなのに……。
「……あの、愛莉のこと……。忘れないで、いてください」
裕太さんにもし、忘れられたとしたら……愛莉はきっと悲しむはずだ。
「何言ってるの、愛南ちゃん。……忘れないよ、忘れられる訳がないだろ? こんなにも、愛してる人なのに」
そう言った裕太さんの顔は、きっと忘れられなそうにない。
「……ありがとうございます。 愛莉、今の言葉聞いて、きっと喜んでると思います」
愛莉は本当に、裕太さんのことを好きだったんだと思うから。