【完結】身代わり婚〜私、姉の代わりに結婚します〜
ちなみに、私は今本当に幸せだから。
本当に本当に、世界一幸せなんだから。
「そろそろ時間だ。行こうか」
「うん」
これから始まる、私たちの新しい幸せの物語が、幕を開ける。
ずっとずっと夢に見ていた、幸せな光景が今現実になる。
「愛南、向こうで待ってる」
「うん、待ってて。すぐに行くから」
「ああ」
裕太さんと私が導き出したその答えは、きっと正しいと思ってる。
本当は間違っているのかもしれないけど、でも……私たちの中では、間違ってないと思える。
「愛南、おめでとう」
「……お父さん、ありがとう」
「愛莉もきっと、喜んでくれてるさ」
お父さんの言葉に、私は一瞬だけ不安になった。
「……だといいけど」
でもお父さんは、私に笑顔を見せて「なにも心配することはないさ。 愛南は愛南の道を生きてきたんだ。自信を持ちなさい」と言ってくれた。
「うん、ありがとう」
「さ、そろそろだな」
「うん、緊張する」
「父さんのが緊張するさ」
こうやってお父さんが和ませてくれるから、私はすぐに緊張が解けた。
私は今から、最高の幸せを手に入れるんだと思うと、なんだか恥ずかしい気持ちにもなる。
「お父さん……本当にありがとうね」
「とびきり幸せになれ、愛南」
「……うん」